​第1章 アルコール依存症ってどんな病気?

​③ 脳のメカニズム

​アルコール依存症は脳の病気です。

​アルコールはどのように脳に作用し、脳はどのように変化するのでしょうか。

依存症は脳の報酬系の病気です。

アルコールはドーパミン神経に作用し、アルコールによって促されたドーパミンの放出により、快の情動が生まれます。はじめのうちは、この快の情動を求めて、お酒を飲もうとしますが、長期間、お酒を飲み続けることによって、この快楽は減少し、むしろ不快な情動が上回るようになっていきます。すると今度は、この不快さをやわらげるためにお酒を飲むようになります。

ネズミの実験

 

​ネズミの脳のある部分に電極を埋め込み、室内のレバーを押すと、快刺激を得られる電気が流れるようにした。ネズミはしばらく室内を歩いたのち、偶然、レバーを押してからは、故意にレバーを繰り返し押すようになった。そして、食事も水もとらず、衰弱するまでレバーを押し続けたのである。(1954,OldsとMilnerらによる自己電気刺激実験)

この実験が示していることはなんでしょうか?

いったん、脳の報酬系の回路ができあがってしまうと、好むと好まざるとに関わらず、まさに命をかけてまで、強迫的に快刺激を求める行動をとってしまう・・・これがアルコール依存症でも起きていることです。

「お酒が好きだから飲んでいる」「意思が弱いからやめられない」

​そう思われがちですが、本人は脳が発する信号に抗えずにいる状態であり、的外れな非難であることがおわかりいただけるでしょうか。

​お酒をしばらくやめれば、脳は元に戻り、またこれまでのようにお酒を上手に(適量で)飲めるようになるのでしょうか?

残念ながら、現在の医学では、それは不可能と言われています。

枯れた井戸にまた水を沸かせる方法を、ある一定の年齢以上の方ならご存じかと思います。「呼び水」と言って、上から水を入れてポンプを動かすことで、地下水を呼び戻す方法です。

これになぞらえて、「枯れ井戸現象」とも言いますが、長い間、断酒をしていても、「もう大丈夫かも」「少しくらいなら」と思って少量のお酒を飲んだことで脳の報酬系のスイッチが入り、あっという間に元の飲み方に戻ってしまうのです。

​脳内報酬系に及ぼした影響は、生涯、消えることはなく履歴として残り、容易に再燃するのです。

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