​第1章 アルコール依存症ってどんな病気?

⑤ 身体への影響

お酒の飲みすぎによる病気、というと肝硬変などの肝臓の病気を思い浮かべるかもしれませんが、影響を与えるのは肝臓だけではありません。お酒は身体のすみずみに、さまざまな影響を及ぼします。

​「アルコール依存症」は死亡診断書の死亡病名としては書かれませんが、お酒の飲みすぎで命を落としている人はたくさんいます。

2018年、WHO(世界保健機関)は、飲酒が原因で年間300万人が死亡しており、その数はエイズや交通事故などによる死亡者数の合計を上回るという報告書を発表しています。この報告書によると、飲酒運転、飲酒によって引き起こされた暴力、さまざまな疾患といったアルコールに関わる理由で死亡した人は、世界の全死亡者数の5%を超えているそうです。

​お酒がどこに、どのように影響を与えるのか見てみましょう。

1 脳・神経系

 前頭葉の萎縮、ウェルニッケコルサコフ脳症、認知症、末梢神経障害 など

2 心臓・循環器系

​ 心筋症、高血圧、突然死 など

3 消化器系

 食道静脈瘤による吐血、急性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、マロリーワイス症候群 など

4 膵臓

 急性・慢性膵炎、糖尿病 など

5 肝臓

 脂肪肝、肝炎、肝硬変、肝不全 など

6 骨・関節

 突発性大腿骨骨頭壊死 など

7 内分泌

 インポテンツ、無月経、甲状腺・副腎への影響 など

8 胎児性アルコール症候群(FAS)

 妊娠中の大量飲酒による胎児の奇形、精神発達遅滞

​9 がん

 ​口腔がん、咽頭がん、食道がん、肝がん など

​以前は、アルコール依存症の平均寿命は52~53歳と言われていましたが、現在は定年退職後に飲みだす、高齢者の依存症者も多く、あまりこの数字は言われなくなりました。

​それでも、お酒が寿命を縮めていることにかわりありません。

「酒は百薬の長、されど万病の元」なのです。

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