ステップ4 怖れずに徹底して自分自身の棚卸しを行い、それを表に作った 「棚卸し」というのは商売をしている人が在庫管理をするための作業を指す言葉です。どの商品がよく売れているのか、どの商品が売れ残って賞味期限が切れようとしているのかを、きちんと把握せずに何となく商売をやっていたら、いずれ経営は破綻してしまうでしょう。
AAの書籍では 「人生」を「自分という個人商店の経営」に例えています。心の中の棚にどんな考え方や感情を並べて今まで商売をしてきたのかを徹底的に調べるのがステップ4です。この品揃えなら商売繁盛するはずだと頑張ってきたものの、気がついてみたら店は倒産、または破綻寸前…それが底をついたアル中さんという事になります。この例えに沿って考えれば、ステップ4の棚卸しをやる時に、見たくない棚や倉庫をあえて無視したり、調べた内容を正直に報告しなかったりしたら、どんなことになるか、想像に難くないでしょう。 このステップは、自分の人生を遡れる限り遡って、「恨み」と「怖れ」と「傷つけた人」を思い出し、紙に書き出してゆく作業から始まります。恨みと怖れについては人間だけに限りません。病院や学校など場所や、集団生活とか一人ぼっちになる事など概念も対象になります。私はお酒が止まって3ヶ月目位の時に、スポンサーの提案に従いビックブックに書かれている方法で棚卸しをしました。 棚卸しの目的は自分の性格上の欠点を明らかにする事ですが、「12ステップと12の伝統」というAAの書籍の中で、依存症者の性格上の欠点について非常に明確に書かれた箇所があります。これは専門家による千人以上のアル中と健常者を対象にした比較調査の結果です。それによるとアルコール依存症者のほとんどは感情的に過敏で、子供染みているくせに、自分の事を大物だと思っている誇大妄想狂なのだそうです。15年前に、ミーティングの中で輪読していた時に、初めてこの部分を読みました。読んだ瞬間、それまでの自分の42年間の人生の通信簿を突き付けられたように感じたのをはっきりと覚えています。Over-sensitive(過敏)、Childish(幼稚)、Grandiose(大物気取り)という英単語3つで、見事に言い切られてしまい、実際に鳥肌が立ちました。と同時に、自分の感情と向き合う事なしに人間的に成長する事はできない、と腹をくくったのです。
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