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第3章 ご家族の方へ
② 家族の変化
家族とは、一人一人の個人の集まりではありますが、ひとつのまとまりとして機能しており、何かあればバランスを取るようにそれぞれが動きます。このように家族というのはひとつのシステムなのです。(これは会社や学校などの組織でも同じことが言えます)
家族がアルコール依存症になった・・・
このようなことが起きると、他の家族はそれぞれが家族としてのまとまり、バランスを維持しようとして行動を変えます。しかし、だんだんと家族としての健全性が失われ、機能不全になっていきます(機能不全家族)。
なにがどのように変わっていくのでしょうか。
1.
ルールが変わる
否認のルールが家族を支配するようになります。
「感じるな」
感情を素直に表してはいけない。感じないように感情にフタをする。
「信じるな」
家族の言っていることは信じてはいけない。
「話すな」
家で起きている問題を話し合えない。家で起きていることを外でしゃべってはいけない。
2.
役割が変わる
「代替者」
依存症者が果たせなくなった役割を他の人が担うようになる。
「被害者・犠牲者」
家族は依存症者の「かわいそうな被害者」だと思う。
「挑発者」
また飲むのではないかという不安から挑発するようなことを言う。
依存症者本人の役割も変わります。
例えば、「父親」「経済的支柱」から「酔っ払い」へと変化。
3.
コミュニケーションが変わる
依存症者と直接、話をしなくなり、情緒的な交流がなくなる。
例えば、依存症の夫と話すのは妻だけで、子どもたちは母親を介してしか父親と話はしない、など。
朝の挨拶をしないなど、家族の中にあった儀式的なコミュニケーションも変わります。
この「否認のルール」の中で育った子どもたちは、大人になってからも生きづらさを抱える「アダルトチャイルド(AC)」になっていきます。幼い頃から家族の中の緊張や対立を感じ、アンテナを高くして生き延びてきましたが、大人になってからはその混乱した境界線の問題が自分を苦しめるのです。